うつ病からの脱出ー血糖調節のしくみ 2ー

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今回は同テーマの第2弾です。

著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。

そして、血糖値を左右するキーポイントになるのが、すい臓や副腎をはじめとする内分泌腺とよばれる臓器です。これらはホルモンを分泌して、血糖値の安定に重要なばたらきをしています。

◆肝臓による調節

肝臓はインスリンに関係なくグルコースをとりこめる臓器の代表であり、血糖値を安定させるために重要な働きをしています。

食後など、血糖が十分にあるときには、グルコースをとりこんで、貯蓄型の糖分であるグリコーゲンとしてたくわえます。さらに余分にグルコースがあるときには、脂肪に変えてたくわえます。

空腹時など、血糖値が下がったときには、肝臓がグリコーゲンをグルコースにもどすか、またアミノ酸や乳酸・ピルビン酸などの物質からグルコースを作る「糖新生」をおこなって、血液中のグルコースを増やし、血糖値を上げます。このように肝臓は血糖値の安定に大きく関係しています。

そして、血糖値を左右するキーポイントになるのが、すい臓や副腎をはじめとする内分泌腺とよばれる臓器です。これらはホルモンを分泌して、血糖値の安定に重要なばたらきをしています。

◆すい臓による調節

すい臓は、「血糖値が高いか低いか」ということをつねに監視している、いわば「血糖値の見はり番」です。

血糖値が高いと、すい臓のβ細胞が反応して、インスリンを分泌して血糖値を下げます。

血糖値が低い場合は、α細胞からグルカゴンを分泌して、血糖値を上げます。

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◆副腎による調節

副腎も、肝臓とすい臓同様、血糖値の調節のためにはたらいている大切な臓器のひとつです。

副腎は、左右の腎臓の上に帽子のようにちょこんと乗っているちいさな臓器です。ふだんはあまり目立たない地味な存在ですが、とても大切なはたらきをしています。ストレスに対抗するためには副腎がとても大切であるということを覚えておきましょう。

血糖値が低いときには、副腎の内側(副腎髄質)から、アドレナリン・ノルアドレナリンを分泌して、血糖値を上げます。

また、副腎の外側(副腎皮質)からコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が分泌され、血糖値を上げます。コルチゾールには血糖値を安定させる以外にも、炎症を抑えたり、痛みを抑えたりするはたらきがあります。アトピー性皮膚炎などの治療でよくつかわれる「ステロイド」と呼ばれる薬は、コルチゾールを薬品にしたものです。

 

◆甲状腺による調節

甲状腺ホルモンは、全身の代謝を維持させるはたらきをしており、エネルギー産生や熱産生などにかかわっています。甲状腺ホルモンは肝臓でのグリコーゲン分解、腸でのグルコース吸収を促進し、血糖値を高めるはたらきをします。

血糖値を調節するホルモン

このようにいろいろな臓器が自律神経やホルモンを介して、血糖値の調節をおこなっています。

即時的な血糖値の調節にかかわっているおもなホルモンは、血糖値を下げるホルモンとしては、インスリン、血糖値を上げるホルモンとしては、グルカゴン・成長ホルモン・副腎髄質ホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリン)・副腎皮質ホルモン(コルチゾール) です。血糖値を上げるホルモンはたくさんあるのに、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかないという点に注目してください。

これらのホルモンのバランスがくずれると、血糖値が不安定になり、さまざまな症状が引き起こされてしまうのです。

 

糖尿病と低血糖症

前述したように、血糖値を一定のレベルに保つために、多くの臓器がホルモンや神経などのネットワークを駆使してはたらいています。

それらの中で一番直接的なはたらきをするのが、ふだんはあまり目立ちませんが、じつはとても重要な多くのホルモンたちです。

血糖値が下がったときには上げるホルモンが分泌され、上がったときには下げるホルモン(=インスリン)が分泌されます。シーソーのようなものだと思えばわかりやすいでしょう。

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その中でもとくに重要な役目を担っているのは、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンです。

インスリンが出ない、または効きが悪くなってしまうために、血糖値を下げることができない場合、血糖値が高くなってしまいます。これが糖尿病です。

糖尿病とは、血糖値が高くなることにより、全身の毛細血管が障害をうけ、網膜症や腎障害、神経障害などを起こす病気であり、予備軍まで含めると日本全国に1600万人もの患者さんがいるといわれて います。この糖尿病の患者数の増加が、日本でも大きな問題になっています。

低血糖症の場合、この逆で、インスリンが出すぎる、または効きがよすぎるために、血糖値が急激に低下したり、低い状態でとどまってしまう、という状態が起きてしまいます。

低血糖症と糖尿病は、一見まったく正反対の病気にみえますが、「血糖値のコントロールがうまくいかなくなる」という意味では、じつは同じカテゴリーの中に入る病気です。

では、低血糖症ではなぜインスリンが出すぎてしまうのでしょうか?

 

以上、抜粋終わり

各臓器でホルモンが排出され、

そのホルモンが身体の調節をしていることが、

理解できたと思います。

次回は低血糖症のなりたちについて、

お伝えしていきます。

 

 

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